理事長ご挨拶
私ども社会福祉法人ふれあい福祉協会(以下、「ふれあい」)はハンセン病の回復者の方々と共に歩んでまいりました。皆さまにはお元気に長生きされて、快適な老後を楽しんでいただきたい。それが私どもの願いであり、そのためのお手伝いをさせていただくのが使命だと心得ています。
悪法として名高き「らい予防法」が1996年に廃止されるまで、明治末期以降、約35000人が隔離生活の苦難を強いられたといわれますが、ハンセン病が治る病気となってから既に70有余年が経過し、国内での新規患者の発生はここ何年間も皆無に等しい状態です。現在、治療を受けている患者もおりません。療養所の入所者は全員が治癒しており、社会復帰を果たした退所者も多数に上ります。
厚生労働省のまとめによりますと、今年5月1日現在、全国13の国立療養所の入所者は927人、平均年齢は87・6歳になっているそうです。入所者数は1950年代ピーク時の約1万2000人と比べ、13分の1ほどに減りました。1000人以上いらっしゃるはずの退所者の平均年齢は定かではありませんが、入所者より幾分は下回るとしても老いを迎えていることは間違いありません。
辛い経験をされた回復者の方々には、何としても無念のうちに先立たれた諸先輩、諸先達の分まで余生を輝かせていただかねばなりません。私どもは「ハンセン病問題の解決の促進に関する法律(ハンセン病問題基本法)」の基本理念を尊重しつつ、きめ細かな支援活動を展開してまいります。
一方、2度と同じ過ちと悲しみを繰り返させぬため、また、依然として世間に残るハンセン病への偏見・差別を一掃するため、正しい知識の普及と啓発に取り組んでおります。全療協や退所者の方々とも協力し、物故者の名誉回復や慰霊・追悼にも力を入れて参ります。
何よりも「らい予防法」や強制隔離策などの負の歴史を今日的な視点で検証し続け、悪政の原因、責任を改めて追及しながら再発防止を図らねばなりません。「ふれあい」は渋沢栄一が初代会頭を務めた財団法人らい予防協会や藤楓協会を前身としており、両会が強制隔離政策の一翼を担っていた歴史的事実を痛切に受け止め、深く反省して出直しました。本ホームページの「使命と決意について」をお読みいただき、真意をお汲み取りいただきたく存じます。
「ふれあい」は障害者の生活支援などの福祉サービスにも取り組み、多くの方々が抱える悩みと真摯に向き合い、共に解決の道を模索しております。皆様のご理解、ご協力と叱咤激励を受けながら、真に頼りにされる福祉法人として活動して参ります。どうぞよろしくお願い申し上げます。
2022年6月
社会福祉法人ふれあい福祉協会理事長
三木 賢治