ごあいさつ                   理事長 三木 賢治


理事長 三木 賢治


 私ども社会福祉法人ふれあい福祉協会(以下、「ふれあい」)はハンセン病の回復者の方々と共に歩んでまいりました。皆さまにはお元気に長生きされて、快適な老後を楽しんでいただきたい。それが私どもの願いであり、そのためのお手伝いをさせていただくのが使命だと心得ています。

 悪法として名高き「らい予防法」が1996年に廃止されるまで、明治末期以降、約35000人が隔離生活の苦難を強いられたといわれますが、ハンセン病が治る病気となってから既に70有余年が経過し、国内での新規患者の発生はここ何年間も皆無に等しい状態です。現在、治療を受けている患者もおりません。療養所の入所者は全員が治癒しており、社会復帰を果たした退所者も多数に上ります。

 全国ハンセン病療養所入所者協議会(全療協)のまとめによりますと、今年5月1日現在、全国13の国立療養所の入所者は1211人、平均年齢は85・9歳になっているそうです。入所者数は1950年代、60年代に比べて10分の1近くに減りました。3000人前後いらっしゃるはずの退所者の平均年齢は定かではありませんが、入所者より幾分は下回るとしても老いを迎えていることは間違いありません。

 辛い経験をされた回復者の方々には、何としても無念のうちに先立たれた諸先輩、諸先達の分まで余生を輝かせていただかねばなりません。私どもは「ハンセン病問題の解決の促進に関する法律(ハンセン病問題基本法)」の基本理念を尊重しつつ、きめ細かな支援活動を展開してまいります。

 一方、2度と同じ過ちと悲しみを繰り返させぬため、また、依然として世間に残るハンセン病への偏見・差別を一掃するため、正しい知識の普及と啓発に取り組んでおります。全療協や退所者の方々とも協力し、物故者の名誉回復や慰霊・追悼にも力を入れて参ります。

 折からの天皇陛下の代替りに足並みを揃えるかのように、紙幣の肖像も交代することになりました。千円札に北里柴三郎、1万円札に渋沢栄一が登場することは、ハンセン病問題に携わる者としては因縁めいたものを感ぜざるを得ません。

 それと申しますのも、北里柴三郎は「日本近代医学の父」と呼ばれる細菌学者ですが、留学先のドイツから帰国した後、東京・芝公園に開設した伝染病研究所や東京・下目黒にあった慰廃園で熱心にハンセン病患者の診療にあたったことが知られています。一方の渋沢栄一は実業家として「日本資本主義の父」と称されますが、社会福祉の面でも数々の功績を遺しています。東京市養育院(現在の東京都健康長寿医療センター)の初代院長としてハンセン病の診療にも関わり、熊本に「回春病院」を設立したハンナ・リデルらの事業を応援したことでも知られています。

 お札の顔を通じて、ハンセン病への関心がさらに高まることを期待したいと思います。「らい予防法」や強制隔離策などの負の歴史を今日的な視点で検証し続け、悪政の原因、責任を改めて追及しながら再発防止を図らねばなりません。「ふれあい」は渋沢栄一が初代会頭を務めた財団法人らい予防協会や藤楓協会を前身としており、両会が強制隔離政策の一翼を担っていた歴史的事実を痛切に受け止め、深く反省して出直しました。本ホームページの「使命と決意について」をお読みいただき、真意をお汲み取りいただきたく存じます。

 「ふれあい」は障害者の生活支援などの福祉サービスにも取り組み、多くの方々が抱える悩みと真摯に向き合い、共に解決の道を模索しております。皆様のご理解、ご協力と叱咤激励を受けながら、真に頼りにされる福祉法人として活動して参ります。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 2019年6月   社会福祉法人ふれあい福祉協会 理事長   三木 賢治

▶ふれあい福祉協会の使命と決意について